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DEFCON あるいは究極のバーチャルリアリティ

DEFCONとは

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写真は4gamerより。

DEFCONとは、核戦争をモチーフにした戦略シミュレーションゲームである。敵味方に分かれて、ICBNを撃ったり防衛レーダー対空ミサイル、SLBN(潜水艦から発射される核ミサイル)などを駆使して、相手の国を滅ぼすゲームだ。

画面は、黒地に線で描画され、シンプルだ。核ミサイルの軌道と、爆発がシンボルとしてあらわされる。戦果は、住民が何人死んだかによってあらわされる。その単位がすごい。ミリオンからしかない。人口280万人、死者250万と言う、ものすごく大きな単位で人が死んでいくと言うすさまじいゲームだ。

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音楽は、静かなアンビエント音楽に似ており、時折悲しげな女性の泣き声が入る。

バーチャルリアリティとしての戦争

このゲームでは、大戦略などの普通のゲームのように、リアルな兵器はでてこない。各サイロは、単純な三角で表され、潜水艦はアイコンのような形で表される。各都市は、単なる点として表され。核兵器が爆発しても、その都市の悲惨な状況は表されない。ただ、単に100万人が死んだと言うそっけない表示によってのみ、悲惨さが表される。

私は、このゲームがものすごくリアルなものとして感じる。理由は、二つある。 一つは、多分戦略空軍の司令室もこんなシンプルな表示だろうと考えるから。そして、もう一つは、崩壊したリアルな都市が表示されないから、かえってリアリティがある。

死者250万と言う表示から、都市の雑踏の賑わいを感じることは出来ない。人々の生は数字に還元され、ただの量として把握される。

一般に、ヴァーチャルリアリティといった場合、現実世界をいかにリアルに再現するかと言う点に力点がおかれる。そのために高精細のディスプレイが必要になり、強力な3Dカードが必要になる。PS3は、綺麗な映像こそリアルだと言う主張しているみたいだ。

でも私は、私はその考え方に違和感がある。むしろ、リアルの不在こそが、逆にリアリティを掻き立てる。倒壊された都市の映像や悲惨な写真を見せられるより、このシンプルな画面を見せられたほうがはるかに怖い。

このゲームを見て核兵器をゲームなどにして不謹慎だと言う人がいるかも知れない。でも私はむしろこのゲームこそが反戦教育に役立つかも知れないなと思う。多分、現代戦において、最高司令室は、あたかもゲーム画面のようだから。


このゲームレビューは、この街で205人が今日生まれ 6370万人の死亡 / 核ゲー「DEFCONと言うエントリーに触発されて書きました。彼のエントリーは素晴らしいです。 特に「この街で205人が今日生まれ」の下りはとても詩的な表現だと思います。人はどのような状況下においても、生を授かることができるのかと考えると、なんか泣けてくる。6370万人は死んでいるんだけど。


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Last-modified: 2015-02-01 (日) 14:38:23 (3542d)